【お試し版】
『恋する秘書』収録-01.





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 それは、一本の電話から始まった。
「……もしもし?」
 実母の半分の血であるこの国に訪れて、まだ一ヶ月も経っていない。生まれ育ったイタリアで実家を飛び出し、ボンゴレ・ファミリーに入ってもずっと孤独なままだった。次期ボス候補が日本という国にいると聞いても、正直他人事だ。上からの覚えが悪いことには自信もあったし、実母のことがあってもさほどかの国に親近感はない。たまに詳しいファミリーに名前が日本名だと指摘されても、確かにイタリア人ぽくはないなという程度の、母国を以外を一緒くたにした印象での『外』だった。
 唯一興味をひかれたのは、そのボス候補が同い年という点くらいだ。だが、そのときは、そこまでだった。いずれ本当にボスになれば会うこともあるだろうが、今のところは関係がない。九代目がかなりの高齢なので、次を見据えてボス候補に擦り寄る連中も多くいる。だが最有力候補と言われながら、日本在住の日本人だというだけで、青田買いも控えられているらしい。内定したという情報が流れても、皆半信半疑だったほどだ。仮に内定が事実でも、決定には至らない。イタリア語も話せない日本の少年は、正式にボスとなる前に撤回されるか、あるいは他の勢力に消されるだろうと誰もが口には出さなくてもそう思っていた。
 候補の段階で騒ぐ連中の気が知れず、そもそも一緒に顔を売っておこうと声をかけてくれるほどの知人も、自分にはいなかった。そのため、去年の真夏、あの名高い殺し屋のリボーンからいきなり直接電話があったことには本当に驚いた。
『獄寺か? なんだ、その声は。寝てたのか?』
「あ、はい、すいませんリボーンさん……。」
 ボンゴレの中でも悪童としてくらいしか名を知られていないはずの自分に、どうしてリボーンほどの人物が電話をしてきたのか。わずかな期待と、妙な不安に駆られたが、話された内容は後者が大きかった。
 要するに、リボーンが後見人をしている次期ボス候補、日本の沢田綱吉という少年を一度イタリアに連れてくるらしい。そこで、日本語が話せる自分に、通訳兼マフィアとしての厳しさを教えてやれという指示だった。正直な感想は、面倒くさいというものだった。会うまでは次期ボス候補などという存在には期待していなかったので、恩を売っておきたいという気には微塵もならない。むしろ、どうせいずれ消されるというのが実しやかに囁かれていた時期だったこともあり、博打に出るつもりもないのに、変に肩入れしたことになって後に立場が悪くなるのは理不尽だとすら感じた。
 一年前の自分は、本当にバカだったと思う。
 それと同時に、そんな自分にツナという立派で尊敬できる偉大な次期ボス候補、いや十代目を紹介してくれたリボーンに、今ではとても感謝している。
『今、家だよな?』
「はい、そうです……。」
『……で、まだ寝てたんだよな?』
 去年の夏に、イタリアで初めてツナと出会い、いろいろなことがあって、この方こそが忠誠を捧げるべきボスだと確信した。いずれ右腕になりたいと願い、帰国する際に同行して日本でもお側にと訴えたが、リボーンに却下される。
 力不足だと、断罪された。凹みはしたものの、リボーンの言うとおりだったので大人しく従う。
 去年の自分は、ボンゴレに所属こそしていても、組織としては群れないと突っぱねるようなところがあった。それでは駄目だ、ツナの右腕として期待できない。ツナに欠けているのは、ボンゴレがずっと本拠地を置いてきたイタリアでの感性である。それは、これからどれだけツナが努力しても得られるものではない。だがイタリアで生まれ育ち、感性はこちらのものでありながら、まだ若く柔軟性があり、日本への理解も深いお前がそれを補えるようになれと言われて感動した。人から期待され、ツナにもよろしくと頼まれたことが、本当に嬉しくて自分を生まれ変わらせてくれた。
 一年という期限を設け、イタリアでの地均しを自分に使命として託したリボーンには、他にも目的はあったのだろう。主に、日本での地盤固めだ。ボンゴレの初代が隠居後に渡った地ではあるが、日本にはマフィアの基礎が整っていない。並盛に関しても、もう少しツナを支えるファミリーが欲しく、鍛えておきたいとのことだった。それは当然だと思ったし、まだイタリアですることも多かったのでさして気にはならない。むしろ、次期ボスとして内定が出ていたツナの後ろ盾を得たことで、九代目からも信頼を得てイタリアで動きやすくなった。実家での英才教育が遅ればせながら役にも立ち、たった一年で本国でも幹部の座にのぼりつめ、堂々と日本に渡ることになった。
『どうした、まだ怪我の具合が悪いのか?』
「あ……いえ、いや、その……それは、まあ、だいぶよくなって……。」
 八月末に日本へと移住し、九月からツナの通う中学校に転入する。久しぶりに会うツナは喜んでくれたし、ボスとしてまた頼もしく成長しているように見えて涙が出た。
 これから、右腕としてこの偉大なボスをずっとお支えしよう。
 そう誓いを新たにしたとき、何故か挨拶に行った部屋に一緒にいた男が、ツナの肩にガシッと腕を回していた。
「あの、リボーンさん、十代目は……?」
 あのときは、感涙も吹き飛ぶほど驚いた。偉大な十代目に、なんて気安い態度なのだと激怒した。だがすぐに思いついたのは、ツナはまだ身分を隠しているのかもしれないということだ。本当のツナを知らないクラスメートがじゃれているだけかと必死で我慢していたのに、その男はツナから説明を聞いて目を輝かせたのだ。
 あ、だったら宿題教えてくれね?
 時期は八月末、夏休みの終了間際だ。後から聞いた名前では、山本はツナの部屋に宿題を写しにきていたらしい。そして、ツナも実はできていなかった。二人で分担して解いていたようだが、リボーンが自分を空港まで出迎えるために不在だったことで、一問も進んでいなかったらしい。
 獄寺君はとても頭がいいんだよというツナの一言で、初対面で自己紹介より先に宿題を教えてとねだる男は本当のバカなのかと思った。キレかけたが、ツナにも重ねて頼まれたので仕方なく宿題の冊子を見てやる。すると実家の城でもかなり初期にやった数学の問題であり、こんなものも解けないのかと心行くまで罵倒していると、山本はそーなのなとへらへら笑い、ツナだけがバカでごめんとどんどん凹んでいってしまったものだ。
 ツナの手前、いいところを見せたかったこともあり、すらすらと解いてやればとても感動された。感謝もされた。日本人らしい奥ゆかしさで礼を言うツナだけで充分なのに、何故か山本の方が喜びを爆発させ、抱きつかれたことには納得がいかない。
 イタリアで一年準備をしている間に、日本の文化というものはそれなりに学んだつもりだった。
 だがへらへらして図々しく、馴れ馴れしくて厚かましい。日本の若者は、今はこうなのかもしれない。まあ転入してもツナ以外とは交流しないのでいいかと思おうとしていたのに、リボーンから実は山本はツナの右腕有力候補だと聞き、愕然とした。
『まだ寝たままだ。黒曜との戦いで、体を酷使しすぎたからな』
「そうですか……。」
 変に鷹揚で、自分がダイナマイトを出しても花火かと面白がり、平然と受け止める度量はマフィアだったからなのか。ツナの母親が差し入れてくれたアイスを頬張っている姿は間抜けな中学生にしか見えないが、相当の猛者らしい。リボーンからの紹介で無理にでも納得しようとしたのに、実はまだマフィアのことも理解していない野球バカだと知り憤慨した。ならば実力を試してやると外へ引っ張り出し、キャッチボールで死を予感して、あっさり勝った報酬として約束していた残り全教科の宿題も見てやる羽目になったのは、来日初日からひどく落ち込ませてくれたものだ。
 だがこれがきっかけとなり、一年ぶりに再会したツナともすぐ打ち解けられたのは嬉しかった。
 山本にはそれ以上に懐かれ、残り少ない夏休みに、ほぼ毎日遊ぼうと引っ張り回されて大変だった。
『心配するな、ツナはただの筋肉痛だ。来週には学校にも行けるようになるだろ』
「そ、そうですか。それならいいんですけど……!!」
『……それより、獄寺、お前のことだ。怪我がいいなら、なんで学校に行ってねえんだ?』
 そもそも人付き合いは嫌いであるし、友人という関係は上下がはっきりしないので対処に困る。なにより、国籍に関係なく、山本は自分が最も苦手とするタイプだった。邪険に扱い、皮肉を返しても通じない。懲りずにまた構ってくる。何故だとキレ気味に尋ねると、面白くて好きだからと臆面なく告げてくる。それに変な具合に胸が高鳴ってしまうのも、本当に訳が分からなくて、山本を大嫌いになった。
 やがて夏休みが明け、学校が始まると鬱積したものはより大きくなった。まず、転入した先で、ガラ悪く凄んでも女子生徒は全くびびってくれない。容姿を揶揄されることは多かったが、どうやら日本人には特に好かれる顔立ちだったようで、転入生という物珍しさと相俟ってやけに纏わりつかれてしまった。実姉の影響で少し女性が苦手なこともあり、強く拒絶できずに適当に逃げ回ってしまうのも情けない。休憩時間は特にひどく、ツナと過ごしてなんとか逃れるのに精一杯だった。
 だがツナにばかり構ってもらったのは、他の理由もある。
 夏休みはあれだけ振り回してくれた山本からの接触が、半減した。単純に飽きたのならばそれでもいいが、どうやら山本は男女共に人気があるらしい。普通の友達も多く、常に誰かから声をかけられる。夏休みは暇潰しだったのだと思おうとしてると、そんな友人たちに手を振って離れ、自分とツナのところに混ぜてくれと笑って入るのも腹立たしかった。
 構ってくれる者がいるのならば、そちらとつるんでいればいいのに。
 内心思うだけではなく、何度も言葉にもしたことはある。そのたびに、山本は自分とツナの肩に手を回し、言うのだ。
「……特に、理由はないですけど」
『獄寺、お前はまだ転入してきて一ヶ月も経ってねえだろ? 早くも不登校じゃ、ツナが復帰してから責任感じるぞ』
 ツナは親友だし、獄寺のことは気に入ってるから。
 臆面もなく言ってのける山本に、怒ることしかできなかったのも、数日間だけだ。夏休みが明け、九月に入ってからすぐに、並盛には不穏な空気が流れ始めていた。隣の黒曜中学の連中が、闇討ちをしているという件だ。しかもイタリア本国からの情報で、骸という少年が率いるグループが、ボンゴレに対して挑発しているのだということも分かった。
 町内で一戦を交えた後、ツナの家で居候していた実姉のビアンキも加え、黒曜のアジトに乗り込む。そしてなんとか倒すことは出来たものの、全員満身創痍で、特にツナは大技を連発したことで寝込んでしまっているのが、現状である。
「いえ、これは十代目の責任とかじゃ……!?」
 ちなみに、自分も怪我をしているが、動けないほどではない。突入前に食らった毒の解毒剤で、更に副作用も出たが、すっかりそれも抜けた。あの戦いが終わって二日くらいは、疲労困憊していたので学校どころではなかった。だが三日目から今日までは、なんとなく行く気がしなくて家でダラダラしていただけである。
 そこに、朝から電話がかかってきた。この時間にまだ寝ていたのかと繰り返されたことで、ようやく今日が平日であること、つまり本来学校に行くべき日であることを思い出したほどだ。始業にこそまだ余裕はあるが、登校するならばもう起きて準備をしていないとおかしい時刻である。リボーンからの電話にすっかり目も覚め、かなり焦って言い訳をしていると、急に電話口でため息をつかれた。
『……まあ、そうは言っても獄寺が学校に行きたがらねえ理由も分かる』
「そ、そうですよね、十代目もいらっしゃらないのに学校なんか行っても……!?」
『日本語が流暢だから忘れそうになるが、獄寺はイタリア育ちだからな。こっちの文化や風習に慣れなくて、つい疎外感からホームシックになるってのは危惧して当然だった』
 そういうことじゃありません。
 よほど否定したかったが、もしそうだと解釈してツナが復帰するまでの欠席を認めてくれるならばそれでもいいかと打算が働いた。
『獄寺が来て早々、骸たちの襲撃があって、こっちも受け入れる配慮が足りてなかったな。素直に詫びるぞ』
「いえっ、そんな、滅相もないです……!!」
 だが、やはり打算はしっぺ返しを食らうものらしい。
 もっと長く日本に滞在し、リボーンと接していれば、こんなに親切な気遣いを山本以外に見せるということで、胡散臭さを感じなければならなかった。だがこのときはまだ日が浅く、そこまで見抜けない。リボーンが何かを用意したぞと言ってくれたのだが、唐突に室内に鳴り響いたチャイムの音で、獄寺は一瞬会話を拾い損ねた。
「あっ、すいません、リボーンさん。誰か来たみたいで、今、ちょっと聞こえなかったんですが……!!」
 新聞などの勧誘などにしては、朝早すぎる。マンションなので近所付き合いはないに等しいし、獄寺の家と知っている者はリボーンなどのごく一部だ。
「ちょっと待っててもらえますか、すぐに追い返してきますので?」
 無視して会話を続けるには、連打されるチャイムがうるさすぎた。かなり苛立ちつつも、リボーンにそう断って携帯電話を持ったまま玄関に向かう。
 こんな朝早くから、いったい誰だ。
 場合によってはダイナマイトを食らわしてやろうと気色ばんだとき、チャイムから手を離した訪問者は、代わりにドンドンと扉を叩いて名前を呼び始めていた。
「……!?」
『ああ、ちょうど来たようだな』
 扉の外から響く声には、聞き覚えがあった。そして、その人物であれば、朝からこんなに騒がしい訪問の仕方も、おかしくないとは思える。
 だが、もし合っているのならば、何故この場所知っていて、こんな時間に訪ねててきたのだろう。
 疑問は、手にしたままの携帯電話から、人の悪い含み笑いと共に判明する。
『獄寺が、まだ日本に馴染んでないようだからな?……強力なサポートを、つけてやったぞ』
「……リボーンさん?」
『お前のスケジュール管理から、健康管理、文化的なフォローまで全部任せてくれと胸を張っていた。まあちょっと思い込みが激しくて頑張りすぎるところもあるが、基本的にはいいヤツだ。ツナの親友でもある。何より、このオレが推薦した人物だぞ?……秘書として粗末に扱いやがったら、許さねえからな?』
 覚悟しとけよ獄寺、と不気味に囁いてリボーンからの電話は切れた。
 だが耳元の声が途切れても、目の前のドアを叩く音はなくならない。ツー、ツー、と無機質な音を鳴らしている携帯電話を持ったまま、呆然としてチェーンを外し、ガチャリと扉を開けてみれば外からぐいっと引っ張られた。
「おわっ!?」
「獄寺っ、おはよう!! ……あ、ございます? まあいいや、今日から獄寺の秘書になった山本武、ですっ。よろしくな!!」
 扉に引っ張られるようにして玄関に裸足で引きずり出された先には、予想通りの人物がいた。
 一週間ぶりに会う笑顔は、眩しくて直視できない。最後に見た意識のない顔とは明らかに違い、思わず安堵してしまいそうになるが、それで誤魔化されきれないほどいろいろとおかしかった。
「……お前、その格好はなんだよ」
「へ?」
 リボーンの言葉から、山本は不登校児を気遣う役目のように、自分を学校に誘いに来たのだと思っていた。だが、学校に行くなら制服が定番のはずだが、山本は何故かスーツを着込んでいる。似合っていない上にネクタイが随分曲がっており、変装より仮装だと思っていると、首を傾げた山本はさも当然のように答えてきた。
「だって、オレ、獄寺の秘書になったから?」
「……。」
「あっ、そっか!! ……はい、コレ。昨日、頑張って作ったのな!!」
 秘書というのは、自分をからかいたいリボーンの戯れ言だろう。だが、山本は真に受けたようだ。足元に置いたカバンは異常に大きく、おそらく制服も詰め込まれているに違いない。これは、ちょっとどころではない思い込みと頑張りようだと頭が痛くなっていると、何故か自信たっぷりに山本が小さな紙を差し出してきた。
 所詮は互いに中学生である。自分はイタリア生活がほとんどであるし、山本も実家が自営業なので一般的な会社勤めのイメージが中途半端なのだろう。だがそうであっても、差し出された名刺は普通手書きではないはずだ。あまりに嬉しそうなのでつい受け取ってしまったが、まじまじと見てもおかしいところがいっぱいあった。
「……。」
「獄寺の名刺は? あ、なかったらオレが作ってやるのな!! 秘書だから!!」
 名前、住所、電話番号くらいはいいだろう。
 だが住所には実家の店名もあり、季節のオススメのネタと、コース料理案内が記されていた。
 更に肩書きは『獄寺の秘書』となっているし、誕生日や血液型まで書いてある。どこで調べたのか、『O型はB型とも相性バツグンなハズ』、『おうし座とおとめ座も相性サイコーのハズ』と注釈があり、どう反応すればいいのか本当に分からなくなった。
 ともかく、日本の生活に慣れるまで山本をサポートとすることをリボーンは決定したらしい。本人も乗り気だ。ただ、秘書という仕事をどこまで理解しているのか怪しいと思いつつも、先ほどの脅しを思えば追い返せるはずがない。
「……名刺はねえよ、大体知ってるんだろ」
 できるだけ仕方がなさそうに、嫌々だと伝わるようにため息までついてそう言えば、山本はハッと息を飲んでいる。それに、言い方がきつかったかと慌てている前で、スーツのポケットを漁りだした山本は、やがて一冊の小さな手帳を取り出すと凄い勢いで捲り始めた。
「……獄寺隼人、十四歳!! 誕生日は、九月九日、おとめ座、血液型はB型」
「はあ……?」
 まさか専用の手帳まで揃えたのかと呆れたが、表紙に『並盛中学 生徒手帳』とある。
 どうやら後ろの方についてる罫線だけのページに、こちらの情報を書き込んでいるらしい。教えた相手はリボーンなのだろうと思えば、プライバシーの侵害だと暴れてみせるのも馬鹿らしい。どうやら、知っているのだろうという言葉に対し、当然知っていますと示したかったようだ。妙に誇らしげにしている山本に、今度はわざとではないため息が出た。
「……将来の夢は、『十代目の右腕になること』。付け加えとけ」
「えっ……あ、うん、いや、はいっ、わかりましたなのな!!」
 やっぱ夢はある方がいいよなあ、とバカ正直に山本は書き込んでいるが、山本も目指していたのではないだろうか。怪訝に思ってつい尋ねると、山本はまた首を傾げていた。
「だって、今は獄寺の秘書だから?」
「……。」
「獄寺っ、よろしくな!!」
 ツナとは元々親友なので、マフィアのことを理解していない山本には、右腕という言葉自体にはこだわりがなかったのかもしれない。
 だからといって、笑顔で手を差し出してくる山本に、握手を返してやることはできなかった。
 この手を取ってしまうと、ツナと出会ったときとは全く違う意味で、人生が変わってしまいそうだ。そんな予想で躊躇っている間に、山本から勝手に手を握られてしまう。
「なっ……!?」
「獄寺、よろしくな?」
「……ああ」
 時として、人生とは抗えないときがある。
 運命と諦めてしまうのも悪くないと、握られた手の熱さに思ってしまう自分を、このときはまだ持て余していた。











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こんなノリで。
都合上、獄寺さんは2年の2学期から転入してますが、それ以外は原作の流れって感じですっ。
基本的にラブラブ☆