※注意※


・これはオフライン発行物のお試し版としていますが、以前サイトでUPしていたものです。
・本にも収録されています。(メインの書き下ろしが別にあります)
・この話では、山本×
女体獄寺です。
・書き下ろしでは、更に24獄寺×14山本×14
女体獄寺になります。



購入を検討されている方は、「こういう二人に24獄(攻)が加わる」とお考えください。



※基本的に、喘いでいるのは14山ばかりです。
※14山は14ニョ獄に、後ろを玩具で辱められているのがデフォです。
※書き下ろしで24獄(男)が出てきてからは、24獄にも後ろを(以下同文
※むしろ男女の獄寺が山本を前後に挟んでアンアンさせるみたいな
特殊すぎるネタです。




※あと18禁です(↓エロ有り)※


























■こんな感じ




 風呂から上がると、情けない声が獄寺を呼んでいた。
「……なあ、獄寺ぁ」
 掠れ気味なのは、身の内の熱に声すら蒸発させられそうになっているからだ。
 そんなことを思いつつも、獄寺は無視をしてキッチンへと向かう。
 夏本番を目前にしたこの時期に、わざわざ浴槽に湯を張って入浴したのは少し暑かった。だいぶ汗もかいたのか、喉の渇きを感じる。風呂上がりの水分補給は重要だし、習慣づけて然るべきだろう。
 自分でも笑ってしまいそうなほど、ひどく真っ当な思考を誰へともなく繰り広げながら、ぺたぺたと裸足で進んで殊更ゆっくりと冷蔵庫を開けた。
「なあ、獄寺ぁ……。」
 すると、また後ろの方、ワンルームのこの部屋ではベッドが置かれている辺りから声がする。
 もちろん耳には入っていたが、もう少し無視することにする。
 クーラーの効いた快適な温度の部屋で、火照った体を内側からも鎮めるように冷たいミネラルウォーターを飲んだ。すぅーっと体の内部に冷たいものがおりていく実感はあるのに、もっと奥からは熱いものがこみ上げてきそうだ。
 獄寺をそうさせるのは、最新でとても静かなクーラーのモーター音より、ずっと大きな振動音を響かせた物を体に埋められている存在だ。今もベッドを背にするようにして床に座り込んだまま、じっと獄寺を見つめてきている。それはわざわざ振り返らずとも感じられ、すがるように喉を鳴らして唾を飲み込んだその相手は、小さなため息すら既に甘い喘ぎのようだった。
「……なあ、獄寺ぁ」
「うるせえな、なんだよ」
 そして三度そう名を呼ばれれば、さすがの獄寺も我慢ができずに振り返っていた。
 すると、本当に嬉しそうに笑うのだ。
 そんな格好にしたのは誰だと思っているのだ、と、加害者でありながら獄寺は思わず怪訝そうにしてしまう。だがすぐに、こいつはこうされて悦ぶのだから歓迎されて当たり前なのだと思い出し、笑ってしまった。
「獄寺……?」
「なんでもねえよ。それよりなんだよ、山本? オレ、まだ水飲んでんだけど?」
 熱っぽい視線と息でベッドの手前から見上げてくる相手、山本武は、ありていに言えば恋人だ。することはしているし、獄寺も処女ではない。だが下世話な言い方では、彼氏であるはずの山本もまた処女ではない。むしろ女である獄寺より犯された回数は多いのではないかと思われる山本の後ろには、今も小刻みに振動を繰り返す男性器を模った玩具が突き入れられていた。
「でも、獄寺……オレ、もう……。」
 更に後ろ手に両手首を縛り上げられた山本は、その状態でベッドを背にするようにして床に座らされている。大して慣らしもせずに突っ込まれた玩具はそのままだと抜けてもおかしくないが、獄寺が殊更時間をかけて湯船にまでつかって風呂を終えた今でも、しっかりと内部に埋められていた。
 一つには、山本がこうして後ろを犯されることが好きだからだ。
 もちろんそうなるように調教したのは獄寺であり、実のところ山本は獄寺によって童貞より先に後ろの処女を奪われている。
 そして山本がいまだに、むしろ抜けてもおかしくない玩具の柄を縛られた手で必死で押さえているのは、単純にそうしておくように獄寺が命令したからだった。
「なんだ、もう降参か?」
「だって、獄寺……オレ、こういうの、苦しい……!!」
「でもまだ一回も出してねえだろうが?」
 山本の横をすり抜け、ミネラルウォーターが入ったペットボトルを手にしたままで、獄寺はベッドに腰を下ろす。ギシリと安っぽいスプリングが軋みを上げてから、わざとらしく呆れてみせれば、山本は口篭りながら俯いた。
「だって……それ、は……。」
 言いよどんだわけではない。
 単純に、どれだけ後ろで快楽を得ても一度も射精できなかった理由を示したいだけだ。
「獄寺が……オレの、ココを」
「ああ、縛ったからだよな」
「……ん」
 手首以上にきつく締め上げられているのは、山本の性器だ。獄寺が風呂に入る前、山本に下を脱がせてまず最初にここを縛り上げた。それからおざなりに後ろを慣らし、玩具を突っ込んでから手を縛って持たせたのである。
 愛撫らしい愛撫こそ施していないが、山本のモノはすっかり熱をためて大きく膨張している。だがそれでいて根元をきつく戒められているため熱を解放することができず、見ていて痛々しいほどだ。
「……かわいそうに」
「獄寺……。」
 先端からはそれでも透明な液がやや滲み、おそらく時折うつぶせるようにしていたのだろう。床がほんの少し濡れているのを見て、獄寺は言葉にしたたままの感想を持っていた。
 そんなに焦らされていて、かわいそうに。
 自ら床に先端を擦りつけるような真似をしていなければすぐにも外してやるつもりだったのに、と自分でも信じていないことを思っていた獄寺は、期待に満ちた目を向けてくる山本をぬか喜びさせることにした。
「もう出してえんだろ? 外してやろうか?」
「ん、お願い……。」
「……ああ、でもオレまだ水飲んでるんだったな」
 だから手が空いてねえや、と、あっさり覆せば、山本は傷ついたような目を向けてくる。それでも非難するつもりはないようで、大人しく次の言葉を待っている。それに、たとえここでしばらく放置という選択をとっても充分よがらせられると確信した獄寺は、少し気を良くて今度こそちゃんとご褒美を与えることにしていた。
「まあ、手は空いてねえけどよ、外してやるよ」
「獄寺?……んぁっ、ア……!?」
 自分とて根元を戒めているベルトを外してやりたいのだ、だが生憎手が空いていない。だから仕方なく代わりに、と獄寺はベッドに腰掛けたままで片足を伸ばしていた。
「ほら、動いてんじゃねえよ? じっとしてねえと、外してやれねえじゃねえか?」
「で、でも、獄寺……んんっ、あ、そんな、に…ヒ、アァッ、あぁ……!!」
 手に比べれば随分と不器用な足で、獄寺は山本のそこを無造作にまさぐった。裸足に山本の熱が直に感じられ、知らず獄寺も唾を飲み込んでいる。だが態度にはその興奮を出すことはなく、片手に持ったペットボトルで時折水を呷りつつ、もう一方の手に至ってはシーツをつかむだけにとどめながら、足で山本のそこを弄っていた。
「やっぱ上手く外れねえなあ……片足だからか?」
「え……あっ、あぁっ、そんなにしたら、獄寺ぁっ、んん…ん、ふぁっ……!!」
 あくまで根元のベルトを外してやるためだと言い張りながら、獄寺は両足ともを向けることにする。
 ベルトより上の、張り詰めた部分の裏筋を足の指でまずは擦り上げる。手ほど巧みではなく、時折爪が当たっても、それすらこの状態の山本は悦ぶのだ。さすがに太くて足の指をどれだけ開いてもしっかりと挟むことはできないが、その中途半端さで無骨に擦り上げられて、山本はますます喘いでいた。更にもう一方の足で、ベルトより下の部分を押すようにしてぐりぐりと揉み回し、時折足の甲と裏で挟む。すると、やがてそれまでギュッと目を閉じていた山本が、何かに促されるようにして薄っすらと目蓋を押し上げていた。
「や、あぁっ、獄寺ぁ…ア、あぁっんん……!!」
「……バーカ、イッてんじゃねえよ」
 そして再びギュッと瞳を閉じると同時に、山本は確かに絶頂を迎えていた。
 だが、ベルトで戒められたままのモノは、当然出していない。せいぜい先端から滲む液体がほんの少し溢れた程度であるが、山本の中では達していた。
「は……あ、んっ……ごく、でらぁ……。」
 恍惚としたため息を漏らす山本の性器は、熱く張り詰めたままだ。だが後ろを犯され続け、更に前も刺激されたことで射精を伴わずに絶頂感を得ていたのだ。
 それなりに根気強く調教を施している獄寺だが、山本がこれを迎えることはまだ稀だ。そのことに気をよくし、気分も高揚してきた獄寺は、表面的には態度が荒くなる。
「なに勝手に気持ちよくなってんだよ、こんなにされるのがそんなに悦かったのか?」
「うわっ、あ、んんっ……あ、獄寺ぁ、痛っ……!!」
 怒って不機嫌さを装いたいのに、それがどうしても上手くいかない。それもこれも、期待通りに乱れてくれるこの可愛い男がすべて悪いのだとばかりに、獄寺は上側から床へと山本のモノを踏みつけた。
 先ほどまでのおざなりな愛撫じみた仕草ですらなく、それこそお仕置きとばかりに上から足をしっかり乗せる。踏み潰すようなことになれば獄寺も困るので、そこだけ力加減には気をつけて、ぐにぐにと転がすようにして刺激させるようにしてやっていれば、再び山本が息を詰めていた。
「あっ、アァッ……んんっ!!」
「……バーカ」
 荒々しい刺激にも、山本のモノはしっかりと愛撫と感じ取っていたらしい。
 射精を伴わないため絶頂までの間隔が短い。だがいくら体はそうでも気持ちが追いつかないのか、心地良さそうに息を詰めた山本は、やがて苦しそうに表情を歪めていた。
「獄寺ぁ……。」
 小刻みに胸を上下させ、快楽にどっぷりと沈められた山本が、そう熱っぽく名前を呼ぶ。苦しそうな顔からもそろそろ限界かと思い、獄寺は手にしていたペットボトルの蓋を閉め、ベッドに転がしておいた。
「なんだ、もう音を上げてんのか。そろそろオレの中で出してえのかよ?」
 相変わらず山本の後ろには玩具が埋められ、振動も続けたままだ。戒められた性器も張り詰めており、どう見ても限界なのは確かだ。
 山本もそれを感じ取って、すがるように名を呼んだはずだ。
 だが獄寺が身を乗り出すようにすれば、何故か山本はゆっくりと首を振る。
「……いい」
「は?」
「今日は、獄寺に入れなくて、いい……。」
 そう小さく呟やかれた言葉は、意外なほど獄寺にとってはショックだった。風呂上がりに飲んだ水より、ずっと冷たく、全身を一瞬で冷え固まらせる。
 もしかして、嫌だったのだろうか。
 さすがにここまでのことを、男でありながら女にされて、堪忍袋の緒が切れてしまったのだろうか。
「やま、も……?」
「……だって、オレの、汚ねえから」
 普通に考えれば恋人同士だからといって、獄寺からの行為はいきすぎもいいところだろう。だが山本の愛が深いのか素質があったのか、今のところさして問題にはなっていない。
 その証拠に、このときも山本は別に愛想を尽かしたわけではなかったのだ。ただ、今日は獄寺と繋がるのは遠慮したい、という理由をおずおずと口にするが、当然獄寺は面食らっていた。
「汚いって、何が」
「え……だから、オレの、コレ……。」
「……。」
 そう言いにくそうに視線を落とした先は、相変わらず戒められたモノがある。
 サイズも形もご立派で、正直どこに出しても恥ずかしくない一物だ。もちろん自慢して回れば軽く逮捕されてしまうし、何より獄寺も見せびらかすつもりはない。そんなお気に入りを、好むが故に『汚ねえモノ』と表現したことはあったかもしれないが、今更それを山本が思い出したとはさすがに思えない。
 かといって、山本がずっとそう思っておりここにきて謙虚になったというのも、考えにくい話だ。ならば今日に限っては汚されたのだ、と思考が回り、その原因に思い当たってつい怒鳴ったのは放っておくと山本がいらないことを口走るからでもあった。
「だって、獄寺、ソコは……すっげぇキレイで、そんで可愛いのに、今日みたく汚れたオレのなんか入れ……。」
「バ、バカッ、何言ってんだよ、それってオレの足が汚ねえってことだろ!? ふざけんなっ、ちゃんと風呂に入ってきただろうが!?」
 顔が赤くなっているのは、まるで足が汚いと貶されたからだ。断じて繋がる場所について、相変わらずのおかしな解釈、おそらくは純粋な好意ゆえの発言が気恥ずかしくて聞くに堪えなかったからではない。
 そう誰にともなく憤慨しつつ声を荒げるが、獄寺自身も説得力のなさには気がつく。確かに普通には足は汚いものだろうし、そこで触られるのは嫌だろう。
「え、獄寺の足は汚くねえって? オレ、獄寺のなら足でも舐めれるし」
「……。」
「あれ、獄寺……?」
 だが内心の常識的な感覚すら、山本は否定してくれていた。
 それをただのお世辞ではなく、まったくの本心なのだとは獄寺にも分かっている。だからこそ、再び照れてしまうのが悔しくなりつつも、ここは一応矛盾を指摘しておいた。
「……じゃあ、オレの足で踏まれても汚くはねえだろうが」
「あ……そっか、そーなるのな!! でも、獄寺がイヤだったら……?」
「ったく、だからオレがいつイヤだっつったよ!?」
 相変わらずよく分からない気遣いを見せる山本に、心底苛立った獄寺はベッドに転がしたばかりのペットボトルを手に取った。
「獄寺……?」
「テメェ、オレの足なら舐めれるって言ったよな……!!」
 そして、片手でキャップを開け、半分ほど残っていたミネラルウォーターを口にではなく足へと向ける。そのまま先ほどまで山本のモノを弄っていた片足へとかければ、その冷たさには少しだけ震えがきた。だがたっぷりと水で洗い流したと言わんばかりのその足を山本の顔へと差し出したのは、正直に言えば、獄寺もだいぶ混乱していたからだ。
「ほらよ」
「……ん」
 山本は嘘をつかない。
 そうと知っているから、何度でも試したくなる。
 風呂上がりの足が汚いかどうかなどという単純な問題だけではない、こんな接し方しか出来ない自分を本当に受け入れてくれているのか、そんな切ない慕情の確認方法も結局こんなことなので獄寺は自分で落ち込んでしまいそうだ。
「んんっ……んぁっ、ん……。」
「この、バカ……!!」
 だが獄寺を自己嫌悪に酔わせてもくれないのは、望まれたとおり山本は素直に口内へと獄寺の足を含んでくれるからだ。さすがにつま先を全部とはいかないが、親指から中指辺りまでを、歯を当てないように慎重に咥えていた。
 ミルネラルウォーターで流したばかりのやや冷たくなっていた足先は、山本の熱い粘膜に包まれて一気に熱が移る。更にこれも調教の賜物なのか、獄寺が特に指示するでもなく山本はしっかりと舌も這わせていた。
 丹念に指を一本ずつ舐め、指の間にも舌を差し入れる。
 飲み込めない唾液が口の端からこぼれ、顎を伝って時折床へと落ちているが、気にした様子もなく山本は一心不乱に獄寺の足の指を舐めていた。そこには当然嫌悪感などうかがえず、むしろ悦んでご奉仕しているといった風情だ。足の親指と人差し指の股はいわゆる両脚の股と同じ感度とも言われているが、それも納得だと獄寺は思っていた。
「んんっ、ん……あ、獄寺ぁ……?」
「……もういい」
 くすぐったい感覚がしたのは最初だけで、後はもう腰の奥がジンと疼くような熱しか感じない。
 なにより一心に獄寺の足をしゃぶる山本の姿に煽られないはずもなく、絡みつく舌を軽く指で押し返すようにしてから足を外した獄寺は、そこでベッドから立ち上がっていた。
 床には獄寺がひっくり返したも同然な水がだいぶ広がっているが、気にすることもなくしゃがみこむ。そうして床へと膝をつき、敢えて正面から両手を背中側へと回すようにして山本の両手首へと触れていた。
「もう飲む水もなくなったからな。ちゃんと手で、外してやる」
「ん?……うんうん、そーなのなっ」
 体格差がかなり大きいので、こうして腕を回しても正直肩越しでも山本の手元がよく見えない。だが元々外しやすく緩めに縛っていたこともあり、あっさりと解けて山本はまず両手が自由になっていた。
「……えっと、獄寺」
「なんだよ」
「……。」
 それでも、軽く手首を振るようにして慣らしただけで、山本の両手は床へと下ろされる。窺うように名を呼んできた意味は分かったつもりだが、素直に察してやるのは癪だ。すると少しだけ寂しそうに笑って結局自分の我儘など通さなくなる山本だと知っていたので、余計に苛立って獄寺は床から立ち上がる。
「獄寺……。」
「……。」
 抱き締めたいならば、そうすればいいのだ。
 どうしてわざわざやりにくいのに正面から背中へ手を回して、拘束を解いてやったと思っているのか。
 結局山本から強引な行動に出れないのは調教の賜物だと分かっていても、時折腹立たしい。だが床に座るようにして見上げてくるだけの山本は、このときもただすがるような視線で名を呼ぶだけだ。いつものことだと諦めようとしても、やはりまぎらわしきれなかった苛立ちからか、獄寺はベッド横の棚に入れてあった箱を取り出すと、力任せに投げつけていた。
「……ほらよっ、自分でつけろ!!」
「ん」
「……。」
 渾身の力で至近距離から放ったが、山本は平然と片手で箱を受け取っていた。
 忘れるにはあまりに無理もあるが、この程度のことであの山本が驚くはずもない。普段はニコニコとしているくせに、野球の動作に入ると急に豹変する。実はその顔にぞくぞくと煽られるのだとは言ったことはないが、自分にボールが向けられない限りは獄寺はそんな山本が好きだった。
 今に関して言えば、捕球と大差がない動作のために山本としては難なくこなせただけだろう。獄寺が投げつけたことなど忘れ、むしろ相当な力が込められていたのだとすら気づかない様子で、山本は箱から出したパッケージの一つを素直に破っている。飄々としているようにも見えたそんな表情を崩させたくて、獄寺は淡々と付け加えてみた。
「二重にな」
「……う、うん」
 その途端、かぶせかけていたゴムを取り落としそうになった山本は、確かに動揺していた。少し歪められた顔では嫌がってるようであるが、言葉では頷くし、なにより箱からもう一つパッケージを取り出している。
 獄寺が刺激しすぎるためか、元々性に対して免疫のなかった山本は射精までの間隔がやたら短いのだ。正確に言えば、獄寺の中に入れてからは特に、だ。堪えさせるためと、堪えさせた表情を愉しむために、獄寺はたまにこうして二重にきつくなるようにゴムを重ねさせていた。
 そうして山本はすっかり慣れた手つきで二つ分のゴムをかぶせたものの、その根元はいまだにきつくベルトで締め上げられている。
「なあ、獄寺……?」
 これはどうするのかとまた名を呼ぶだけで尋ねてくるが、すぐに山本は目を逸らしていた。それが、獄寺が躊躇なく短パンを下着ごとおろしたからだというのは簡単に分かる。散々しているくせに相変わらず初心な奴だと思いはするが、悪い気はしない。急におどおどと視線が定まらなくなった山本の腰に遠慮なく跨ると、獄寺はまず一方の手を山本の頬へと添えてやっていた。
「あ、獄寺……。」
「ほら、こっち向けって? もう繋がるんだからよ」
「ん……。」
 照れている山本の頬を慈しむように何度も撫でれば、照れより飢えが凌駕したらしい山本はしっかりと視線を合わせてくる。それにまたぞくりとしたものが背中を走った獄寺は、もう一方の手で山本の性器に触れ、ゴムでつるつるした感触の上からくすぐるように撫でていた。
「ん……!!」
「山本、ちゃんと見せろよ……?」
 そう言いながら、片手で支えた山本のモノの先端に、自らの潤った入り口を押し当てる。
「あ、獄寺ぁ……!!」
 すると、挿入の熱さに予兆だけでも興奮が増したようで、声を震わせて名を呼んだ山本に、獄寺は頬に添えていた手の親指をグッと口の端から押し込んでいた。
「んぐっ……!?」
「テメェ、声は殺すなよ? よがりまくって喘ぐ声が聞きてえんだからよ。あと、オレの指噛んだら殺すからな?」
「んっ……!!」
 口の端を引っ張るようにして閉じるのを阻止し、山本がやや苦しそうに唸って頷いたのを確認してから、獄寺はようやく腰を下ろして飲み込ませ始めていた。
 なんだかんだと言ってはいるが、山本のモノはそれなりに大きい。加えて、根元も全体も締め付け、更に玩具を後ろで咥えさせたままのそれは、熱く硬く滾っているのだ。それを身の内に埋めていくのは、犯されているのに犯している感覚になる。初めてこうして繋がったとき、出血した獄寺以上に痛そうな顔をして、『食いちぎられそうなのな……!!』と喘いだことも、この印象に拍車をかけたのかもしれなかった。
「んぁっ、あ、獄寺ぁ……!!」
「んんっ……!!」
 そうして、指示したとおり声を殺すことのない山本の喘ぎに隠し、獄寺も小さく唸っておく。
 失神しそうな圧迫感だったのは最初くらいで、今ではすっかりこの質量が心地良い。しばらくは動かずに熱が溶け合うのを待っていれば、ふとした欲求が湧き上がる。
 どれだけ密着した気になっても、所詮は薄いゴムによって阻まれているのだ。
 もしこれがなければ、どれだけ心地いいのだろう。
 そう思えばゴクリと唾を飲み込んで興奮は増すが、生憎口に出さずとも既に答えは聞いていた。
「……バカッ」
「え? あ、獄寺……?」
 獄寺に対してはあまり真剣に怒ったりもしない山本なので、以前そんな希望を口にしたときの記憶はひどく貴重なものだ。あんなふうに、声を荒げ、顔を紅潮させ、叱りつけるような山本にはついぞお目にかかったことがない。
『獄寺っ、だから、そーゆーのは結婚してからじゃねえとダメなのな!!』
「……ああもうっ、ほんっとバカだよな」
「あの、獄寺……?」
 獄寺とはそんなつもりではないので、生でなどできない。
 そんな発言であれば、傷つく前に諦めもついただろう。どれだけ互いにのめりこんでいようが、所詮は中学生同士なのだ。特に山本は獄寺が経験豊富と思っている節もあったので、こうして体を重ねてやることにどれだけの覚悟があったのかなど、想像だにしていないのだろう。
 城を飛び出したのが幼かったことに加え、母だと知らなかったあの女性の面影があるらしいとくれば、その手の目的で狙われないはずもない。幼いなりに恐怖だけは敏感に感じ取って逃げ回り、ある程度の年齢になってからは二度とそんな気を起こさせないように徹底的に叩きのめした。そうするための強さを身につけるために、結局父と同じマフィアを目指したというのはどんな皮肉なのだろう。
 それでも、これも因果だと諦め、いっそ体を使うことを手段として割り切ることはできなかった。
 本能的な拒絶より、裸で触れ合うという状態が獄寺にとっては羞恥より丸腰である事実を看過できなかったからだ。
 大人など、他人など、誰一人信じられなかった。
 信じてしまえば預けた心を握り潰されそうで、体より先に体を認識できる心が殺されてしまいそうで、他人の生々しさを感じる交わりには本当に嫌悪感しかなかったのだ。
「なあ、獄寺ぁ……?」
「……。」
「あの、えっと……その、そろそろ……?」
 それなのに、たった一つの忠誠を捧げたボスにではなく、バカでバカでどうしようもないこの男に体を、本当は心までも、委ねたくなってしまうことに時々背徳すら感じてしまう。
 ゴムなんかいらねえだろ、という軽めの言葉で直接繋がろうとした獄寺を、山本はあのとき真剣に止めていた。
 そして結婚してからでないとダメだと力説してから、まずはちゃんと両親に挨拶をしてだとか、三か月分の額の指輪を渡すためにまずは給料がもらえるように就職してからでなければだとか、おかしな未来像を語りだしたときにはポカンとしてしまった。それから、腹を抱えて笑ってしまった。
 なんのことはない、やはり山本は山本なのだ。
 こんな自分でも、それでも大好きだと臆面なく言動で示してくれる天然の恋人だ。
「……そうだな、テメェのバカさ具合に免じて一つ選ばせてやる。外すの、どっちがいい?」
「えっ……あ、じゃあ……?」
 思い出し笑いで気をよくし、片手でするりと根元を撫でてやる。正確には足の付け根に近くなってしまうのは、いまだベルトできつく戒められたままだからだ。そのベルトと、後ろを犯している玩具と、どちらを外して欲しいのか。そう尋ねてみれば、案の定山本はおずおずと希望を述べていた。
「……玩具、抜いて」
「よし、じゃあ抜いてからまた突っ込んでやるな?」
「え?……んぁっ!? ア、あぁっ、獄寺ぁっ、待っ……!?」
 ニッコリと胡散臭さ全開で微笑んでから、頼まれたとおりに玩具を一度ずるっと抜いてやる。そして先端が完全に抜けたところで、再びまた強く突き入れたのだ。やや上体を捻るようにし、後ろ手に持った玩具をグチュグチュと卑猥な音をさせて何度も抜き差しする。それに山本が動揺している間に、もう一方の手で強引にベルトも外してやっていた。
「い、痛っ……あ、アァッ、ごくでらぁ……!!」
「ほら、出せよ……!?」
 膨張したおかげで食い込みかけていたベルトを躊躇なく一度締め上げてから、獄寺は外してやる。すると飲み込んでいる内壁を押し広げるようにいっぱいまで大きくなった気がする山本のモノを埋めた腰を、獄寺は前後に揺らすようにして刺激し始めた。
 後ろは相変わらず玩具で弄られ、戒めるベルトがなくなれば、山本が長くもつはずもない。
 早くその愉悦にまみれた顔を見せろとばかりに腰を揺らしているが、思ったより山本は頑張っているようだ。
「獄寺っ、ごく、でらぁ……!!」
「なんだよ、オレの中気持ちいいんだろ……!?」
「イイ、けど……んぁっ、ア、ほんとに…やば、い、から……!!」
 やばいなら、出せばいいのだ。念入りに二重にゴムもかぶせているのだから心配はないだろうと思うのだが、それは後付けだと思い出す。そもそもは、早すぎるので持久力をもたせるのが目的だった。つまりその目的が達成されすぎているのかと思考の回りが鈍くなっているのも、結局獄寺も山本の熱に酔っていたからだ。
「だか、ら……獄寺、ごくでらぁ……!!」
「ああ……?」
 ちょっとだけ、触らせて欲しい。
 嬌声の合間なので途切れ途切れであったが、そんな言葉が聞こえたと思った次の瞬間には、少し汗ばんでいた山本の大きな手が膝に触れ、獄寺はビクッと身を竦ませてしまった。
「!?」
「……い、イヤなら、触らねえから」
 獄寺のそんな反応に、すっかり腰は限界まで熱を溜めていても気がついてしまう山本は、すぐに手を引っ込める。
 そんなにも簡単に離せてしまえる執着ならば、最初から触れないでほしい。
 怒りにも似た悔しさを感じたが、基本的に獄寺は口より先に手が出るタイプだ。
「え?……うわっ!?」
「バカ、その代わりテメェもちゃんと腰振れよ」
「ん、うん、頑張るのな……!!」
 気がつけば玩具で嬲る手が外れ、空いていたもう一方とで山本の両手を握っていた。指を絡めるようにしてそれぞれの手を握り、獄寺はやや前のめりになる。玩具を動かすために後ろに体重を持っていかなくてよくなった分、今度は腰を前後ではなく上下に動かすことが出来るようになった。
 山本の腰を挟むようにして折った膝を床へとつけ、腰を持ち上げてまた落とす。抜き差しのようなことはできるものの、やはり物足りない。より深く繋がって快楽を得るには相手の協力が、と思ったときには、グッと持ち上がってきた腰によって獄寺の中に熱い凶器が突き刺さる。
「ん、く……!!」
「あっ、アァ、獄寺、獄寺ぁ……!!」
 早いくせに、体力は損なわれない。それが褥での山本武だ。獄寺より随分と甘ったるい声を漏らしながら、あっという間にのぼりつめていくバカな男が、本当に可愛い。
「ごくでら、ごくでらぁっ、ア、んぁっ……ああ、オレ、もう……!!」
「ああ、イッていいっての……!!」
「なあ、獄寺も、ごく、でら……も、きもち、よくなっ…て……あ、アァッ……!?」
 そして、頷いてやる前にさっさと本当にイッてしまう男が、本当に愛しい。
 それまで散々自分が焦らしておいたことは棚に上げ、獄寺はさて次はどんなお仕置きをしてやろうかと考える。だがふと気づけば、我慢させすぎた所為で射精が相当な快楽になったようで、ほとんど山本に意識がないことに気がついた。
「ん……あ……。」
「山本……。」
 そうであれば、お仕置きなど一つしか考えられない。
 小さく名を呼んで身を倒した獄寺は、そっと山本に口付けてやった。
「んんっ……。」
「……バカ、山本」
 分かっていない様子の山本の意識が戻ってから、この事実を教えてやろう。
 すると、どうして意識がハッキリしているときにしてくれないのだと、山本は拗ねるのだ。
 そんな少し先の未来を想像して笑ってしまいながら、獄寺は甘い息を紡ぐだけの唇を何度も舐め、軽く舌も絡めてやった。
 ぼんやりとした視線は相変わらずで、きっと山本は唇や舌を撫でるものが、獄寺の舌なのか指なのかすら分かっていないだろう。
 そうでなければ、できるはずもない。
 獄寺の方にちゃんと余裕があるときでないと、本当はキスをすることが一番照れて仕方ないということを隠し通せないではないか。
「ん……。」
「山本、お前ほんっとバカだよな……。」
 だから、これはお仕置きであって、何も知らずに享受している山本は後でたっぷり悔しがればいい。
 決して自分からキスしたくなったわけではないと心の中だけで言い張りながら、獄寺はもう一度唇を重ねていた。

 
 











こんな感じです。